パラジウムメッキがジュエリーの手頃な金代替品となる理由
宝飾用パラジウムめっきガイド:ゴールドより安く、輝きと耐久性に富む
はじめに
この章では、パラジウム(Pd)めっきの包括的なガイドを提供する。本章は、銀白色で延性があり、コスト効果の高い貴金属としてのパラジウムの特性の概要から始まる。内容は、溶液組成、結晶改質剤や有機酸のような添加剤の影響など、純パラジウムの電気めっきプロセスについて詳述している。さらに、Pd-Ni、Pd-Ag、Pd-Co-Inなどの様々なPd合金の電気めっきについても解説している。この章では、Pdとその合金の無電解(化学)めっき法も取り上げ、プリント回路基板産業での応用に焦点を当てている。最後に、パラジウムめっき液の運用管理について述べる。
目次
セクション I 概要
パラジウム(Pd)は周期表の原子番号46。金属パラジウムは銀白色で、融点は1554.9℃、沸点は3100℃。延性があり、白金族金属の中では手頃な価格の部類に入る。常温常圧での結晶構造は面心立方。水素を容易に吸収し、体積の約935倍の水素を吸収するため、水素吸蔵合金の製造に有用である。また、触媒としての性質もある。延性があり、軟らかい白色金属で、空気中でも金属光沢を失わない。
しかし、純パラジウムの耐食性は、白金族元素の他の金属よりも劣り、硝酸の浸出を受けて色が濃くなったり、空気中で変色したりしやすい。これらの欠点を改善するために、電解めっきを施した白色光沢パラジウム-ニッケル合金を使用することができる。パラジウムの密度は12g/cm3パラジウム-ニッケル合金めっきには20%ニッケルが含まれているため、金めっきの代わりにパラジウム-ニッケル合金めっきを使用すれば、材料費は金めっきのコストよりも低く抑えることができる。
パラジウムめっきは、エレクトロニクス産業で広く使用されている。硬質金めっきの下地層として使用される場合、かなりの量の金を節約することができる。近年、パラジウム-ニッケル合金めっきが開発され、従来のパラジウムめっきに一部取って代わられている。これは金属パラジウムを節約するだけでなく、電気めっきコストを削減する。
パラジウムの密度は金の密度より低いので、金とパラジウムの厚さは同じ40%程度である。
同時に、Niの人体に対するアレルギー作用のため、PdもNiの代替めっきとして使用されている。表4-1にPdの主なパラメータを、表4-2にPdの主な需要量を示す。
表4-1 パラジウムの主なパラメーター
| 特性パラメータ | 特性値 | 特性パラメータ | 特性値 |
|---|---|---|---|
|
元素名、元素記号、原子番号 分類 グループ、期間 密度、硬度 カラー 相対原子質量 原子半径 共有結合半径
|
パラジウム、Pd、46 遷移金属 10(Ⅷ)、5 12023kg/m3, 4. 75 シルバー・ホワイト 106. 42 140時 131時 |
酸化値 結晶構造 融点 沸点 気化熱 融解熱 比熱容量 電気伝導率 熱伝導率 |
-1、+ 1 面心立方 1828.05K (1554. 90℃) 3373K (3100℃) 357kJ/mol 16.7kJ/mol 25.9J/(kg - K) 10.85X10-6m -Ω 75.5W/(m - K) |
表4-2 パラジウムの需要単位1000オンス
| 項目 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 |
|---|---|---|---|---|
|
自動車触媒:合計 リサイクル ケミカル 歯科 エレクトロニック 装飾的 その他 合計 |
5640 230 255 820 2160 255 60 8960 |
5090 280 250 725 670 230 65 6750 |
3050 370 255 785 760 260 90 4830
|
3460 410 250 725 895 340 90 5260 |
セクション II パラジウムの電気めっき
1.パラジウム電気めっき液
1885年、アメリカのパイロット社が「白色パラジウム皮膜製造法」の特許を取得した。このめっき液は、塩化パラジウム、リン酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、アンモニア水を使用し、必要に応じて安息香酸を加える。アンモニアは揮発性なので、めっき液はアルカリ性になる。安息香酸を添加する目的は、めっき部分を還元し、鉄や鋼の表面との密着性を向上させるためである。
光沢パラジウムめっきについては、Deuberの米国特許(1978年)に詳細な記述がある。Pdめっき層は、スイッチ接点の導電性を向上させることができ、ロジウムに匹敵する光沢のある白色めっきを実現することができる。
めっき液にはPd塩のほかに導電性塩や光沢剤も含まれており、めっき液は非常に複雑なものとなっている。
表4-3に一般的なPdめっき液の主成分を示す。
表4-3 一般的なPdめっき液の主成分
| Pd化合物 |
塩化パラジウム(II)アンモニウム Pd(NH3)2Cl2 亜硝酸パラジウム二アンモニウム Pd(NH3)2(NO2)2 亜硝酸テトラアンモニウム・パラジウム Pd(NH3)4(NO2)2 硫酸パラジウム二アンモニウム Pd(NH3)2SO4 塩化パラジウムテトラアンモニウム(NH3)2PdCl4 シュウ酸パラジウム二アンモニウム Pd(NH3)2C2O4 シュウ酸テトラアンモニウムパラジウム Pd(NH3)4C2O4 |
|
| 導電性塩類 | 塩化アンモニウム、クエン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、スルホン酸アンモニウム、クエン酸カリウム、硫酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、ピロリン酸カリウム | |
| 光沢剤 | クラス1 | サッカリン、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸アンモニウム、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸 |
| クラス2 | 1,4-ブチンジオール、ベンジルアルコール-o-スルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸塩 | |
表4-4に代表的なPd電気めっきのプロセス条件を示す。表中のNo.4のめっき液を使用した場合、めっきが進むにつれて電流効率は徐々に低下する。この時、亜硝酸ナトリウムをめっき液に添加し、Pd化合物の生成を促進させ、電気めっきの進行を持続させる必要がある。
No.5のめっき液は、塩化アンモニウムパラジウム[Pd(NH3)2Cl2].陽極反応では塩素ガス、亜塩素酸塩などの酸化生成物や有機物の分解が生じる。一方、めっき工程では下地Niの不動態化も起こる。シュウ酸アンモニウムパラジウムを添加することで、下地の不動態化を防ぐことができる。
表4-4 代表的なPdめっき浴のプロセス条件
| 組成とプロセス条件 | 第1位 | 第2位 | 第3位 | 第4位 | 第5位 |
|---|---|---|---|---|---|
| パラジウム塩 | Pd(NH3)2Cl2 | Pd(NH3)2(NO2)2 | Pd(NH3)4Cl4 | Pd(NH3)2(NO2)2 | Pd(NH3)2C2O4 |
| 導電性塩類 |
硫酸アンモニウム 30g/L 塩化カリウム 15g/L 水酸化アンモニウム 8mL/L
|
第二リン酸アンモニウム 95g/L 水酸化アンモニウム 24g/L
|
硫酸アンモニウム 25g/L |
硫酸アンモニウム 90g/L 亜硝酸ナトリウム 10g/L
|
リン酸水素二アンモニウム 100g/L |
| ブライトニング剤 | ベンジルアルコール-o-硫酸ナトリウム 2g/L | ナフタレンスルホン酸 35g/L |
サッカリン 1g/L アリル硫酸ナトリウム 3g/L
|
||
| 合金金属 | 硫酸ニッケル 0.2g/L | - | - | - | - |
|
H 温度 電流密度 Pd含有量
|
5.5 〜7.0 50℃ 0.4〜1.6A/dm2 2g/L
|
9.2 - 1.1A/dm2 2g/L
|
7.5 50℃ 1.0A/dm2 1.5g/L
|
8〜9 70℃ 1.0A/dm2 50g/L [の形でPd(NH3)2(NO2)2 ]
|
7.5 50℃ 3A/dm2 10g/L
|
| 特許 昭和59-33674(1984) | 特許 昭和59-45758(1984) | 特許 昭和62-24517(1987) | 特許 昭和62-29516(1987) | 特許 昭和62-20279(1987) |
パラジウムめっき液は一般に中性またはアルカリ性である。アルカリ性めっき液では、pHを調整し、アンモニウムパラジウム塩の安定性を確保するために、通常アンモニア水が使用される。速度が速く、空気との接触面積が大きいプロセスでは、アンモニア水の消費速度も速く、pHが不安定になる。このため、陽極でPdが析出したり、水素を吸収したりして引張応力が増大し、厚いPd層をめっきする場合には割れが発生する可能性がある。
F.Simonらは、酸性パラジウムめっき液を提案した。この溶液のpHは1以下、Pd含有量は20g/L、硫酸濃度は100g/Lで、めっき液中のPdは0.2~2g/Lの亜硫酸錯体の形で存在する。電流密度が1.0A/dmの場合2カソード電流効率は97%、電着速度は0.26g/分であった。溶液温度が高いと錯体が不安定になり、35℃以上の電気めっきには適さない。しかし、アルカリめっき液よりはまだましと考えられる。
前述のように、パラジウムめっき層の性能は、共析水素量に大きく影響される。
パラジウムめっきに含まれる水素の量は、H/Pdの原子比で表され、この値が0.03を超えるとH原子がPd格子内に拡散し、クラックが発生する可能性が高くなる。これは、H/Pd<0.03の場合、Pd-H化合物がα状態にあり、その格子定数が純粋なPdの格子定数に近いためである。しかし、H/Pdが0.57を超えるとβ状態になり、その格子定数は純Pdよりも約3.0%大きくなる。さらに、β状態は熱力学的に不安定で、α状態に変化して水素を放出し、その結果、格子が小さくなり、コーティングにクラックが入る。H/Pdが0.03~0.57の場合、結晶化はα状態とβ状態が共存し、β状態の存在は上記の問題を引き起こすため、めっき層のクラックを避けるためには、H/Pd比を0.03以下にする必要がある。
表4-4のNo.2めっき液の場合、Pd=15g/L、導電性塩=100g/L、pH=8.0、温度35℃、電流密度1~2A/dmのとき、めっき層のH/Pd原子比は約0.2である。2 この時の内部応力は約2.25N/mmである。2 F.Simonらのめっき液から得られるめっき層のH/Pd比は0.0004と低く、内部応力は電流密度によってわずかに変化し、内部応力は約135N/mmである。2 1A/dmで5~7umのめっき厚の場合2 (図4-1参照)。これは、以前のめっき液では実現できなかったことである。
2.Pdめっき液への結晶調整剤の添加効果
図4-2からわかるように、Pdめっき液にゲルマニウムを添加すると、めっき皮膜のろう濡れ性が向上する。図から、めっき液中のゲルマニウム濃度が100×10-3g/L(0.1g/L)、良好な濡れ性が得られる。
パラジウムめっき液の組成は以下の通りである:
ジクロロジアミン・パラジウム(パラジウムとして) 4g/L
アンモニア 20mL/L
塩化アンモニウム 100g/L
酸化ゲルマニウム(ゲルマニウムとして) 10mg/L、100mg/L、500mg/L
рH 8.5
めっき液温度 55
電流密度 0.2
パラジウムめっきの厚さに関する実験では、0.01μmと0.02μmの厚さのパラジウムめっき加工品を選び、濡れ性試験を行った。異なる熱処理条件下での結果を比較した。
図4-3に示すように、熱処理条件380℃、1分では、めっき厚さ0.01μmでもZCTは1秒以下であり、薄いパラジウムめっきでも良好なろう付け濡れ性を維持できることがわかる。熱処理条件が400℃、30秒の場合(図4-4)、0.02μmのパラジウムめっき層のZCTは1秒以下であったが、0.01μmのパラジウムめっき層のZCTは2.66秒であった。430℃の熱処理条件では、0.01μmパラジウムめっき層のZCTは5秒以上、0.02μmパラジウムめっき層のZCTは1.84秒であった(図4-5)。したがって、熱処理度が低い場合、めっき液にゲルマニウムを添加することで、パラジウムめっき層の最小厚さを低減できる可能性がある。
図4-3 Pdめっき厚0.01μmと0.02μmのろう付け濡れ性結果
(熱処理条件:380℃、1分)
図4-4 Pdめっき厚0.01μmと0.02μmのろう接結果
(熱処理条件:400℃、30秒)
図4-5 Pdめっき厚0.01μmと0.02μmのろう付け時の濡れ性結果
(熱処理条件:430℃、30秒)
図4-6 パラジウムめっき層の表面写真
ゲルマニウム共晶の金属接合強度への影響を確認する実験では、その影響はわずかであることがわかった。同時に、熱処理前後のパラジウムめっき層には、ゲルマニウム添加の有無による結晶学的な違いは観察されなかった(図4-6参照)。
パラジウムめっき層中のゲルマニウムの共晶含有量は、めっき液中のゲルマニウム濃度の増加とともに増加する(図4-7参照)。
また、ゲルマニウムを共析させることで、パラジウムめっき層の耐熱性が向上し、下地金属であるCuやニッケルの表面への拡散が抑制されることも実験により示された。
以上のことから、パラジウムめっき液にゲルマニウムを添加することで、必要なパラジウムめっきの最小厚さが大幅に減少する。
3.Pdめっき液への有機酸添加の効果
さらに、めっき液に有機酸を添加することで、Pdめっき厚を減少させ、リードフレームの濡れ性を改善し、はんだ耐熱性を向上させることができる。Shigeki Kiyomizuらは、めっき液にスルホン酸またはスルホン酸を添加することにより、パラジウムめっき厚を減少させた。
銅リードフレームのボンディングパッドに1.0μmのニッケルめっきを行い、続いて表4-5の条件で0.03μmのパラジウムめっき(新たに調製しためっき液と3サイクル後のめっき液の両方でめっき)を行い、最後に0.005μの金めっきを行った。得られためっき部品について、鉛フリーはんだ(Sn 96.5%、Ag 3%、Cu 0.5%、250℃)との濡れ性試験をそれぞれ3回行った。結果を表4-6に示す。
表 4-5 めっき液の組成とプロセス条件
| 組成とプロセス条件 | 第1位 | 第2位 |
|---|---|---|
|
テトラアンモニアパラジウムジクロリド(パラジウムとして) 塩化パラジウム二アンモニウム(パラジウムとして) 2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム 1,5-ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム 硝酸アンモニウム 硫酸ナトリウム 酢酸アンモニウム コハク酸ナトリウム 塩化アンモニウム H めっき液温度 カソード電流密度 |
3.0g/L - 3.0g/L - 125g/L - 50g/L - 10g/L 7.5 〜 8.5 60℃ 0.5A/dm2 |
- 3.0g/L - 3.0g/L - 125g/L - 50g/L 10g/L 7. 5 ~ 8. 5 60℃ 0.5A/dm2
|
表4-6 めっき部品の濡れ性試験結果[ZCT(s]
| シリアル番号 | 新しいめっき液 | メッキを3回繰り返した後 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| N=1 | N=2 | N=3 | N=1 | N=2 | N=3 | |
| 第1位 | 0.85 | 0.90 | 0.77 | 0.85 | 0.90 | 0.77 |
| 第2位 | 1.00 | 1.23 | 0.98 | 0.99 | 1.35 | 1.03 |
セクション III パラジウム合金の電気めっき
1.パラジウム-ニッケル合金の電気めっき
(1) パラジウム-ニッケル合金めっき液の組成
表 4-7 にいくつかの Pd-Ni 合金めっき液の組成とその処理条件を示す。Pd-Ni合金めっきでは、Pd-Niの析出比率を一定にすることが最も重要である。特にアンモニウムめっき液では、pH値の変化が大きいため、析出比率の安定的な管理が重要である。近年、ロール・ツー・ロールめっきの高電流密度化、高速化に伴い、析出比率は極めて重要なファクターとなっている。
表4-7 Pd-Ni合金めっき液とそのプロセス条件
| 組成とプロセス条件 | 第1位 | 第2位 | 第3位 | 第4位 |
|---|---|---|---|---|
|
パラジウム塩 ニッケル塩 導電性塩類 - - ブライトニング剤 |
Pd(NH3)2Cl2 40g/L ニッソー4 ・ 6H2O 45g/L NH4OH 90mL/L (NH4)2SO4 50g/L - 十分な量 |
Pd(NH3)2Cl2 (パラジウムとして) 10g/L Ni(NH3)2Cl2 (as Ni ) 12g/L NH4Cl 30g/L クエン酸アンモニウム 10g/L H3ボ3 15g/L - |
Pd(NH3)4Cl2 -H2O (パラジウムとして) 25g/L Ni(CH3COO)2 - 4H2O (as Ni ) 10g/L - - - - |
PbSO4 - H2O (as Pd ) 7. ニッソー4- 6H2O(Ni として) 29g/L グリシン 10g/L (NH4)2SO4 50g/L 硫化安息香酸 5g/L ポリエチレンポリアミン 0. |
|
H 温度 電流密度 Pd/Ni分子比 - |
8.5 30°C 1A/dm2 80/20 - |
9.0(アンモニアによる調整) 50°C 2A/dm2 - テー・クン・チャオ 60-9116 (1983)
|
8.0(NaOHで調整) 30°C 1 A/dm2 86/14 テー・クン・チャオ 59-29118(1984) |
8.25(NHで調整4OH) 40°C 0.2〜2A/dm2 70/30 テー・クン・チャオ 58-30395(1983) |
表4-8 低速および高速めっき浴の組成とプロセス条件
| 組成とプロセス条件 | 低速めっき液 | 高速めっき液 |
|---|---|---|
|
パラジウム/(g/L) Ni/(g/L) NH4Cl/(g/L) 温度 H 電流密度/(A/dm2) 撹拌/(cm/s) カソード電流効率/% 添加剤1/(mL/L) 添加剤2/(mL/L) |
6〜8 2〜4 80〜120 35 8.0 1 5 92 2〜25 0.1〜10 |
15〜25 15〜25 50〜100 35 8. 0 10 50 92 2〜50 0.1〜20 |
表4-9 各種コーティングの比較
| プロパティ | 硬質メッキ | 純Pdめっき | Pd-Ni(20%)めっき |
|---|---|---|---|
|
硬度HV 硬化剤 結晶サイズ/Å 密度/(g/cm 3) 伸長/% 揮発成分(質量分率)/% 熱安定性 内部応力/(N/mm) 2) |
160 Co 200〜250 17. 3 2.3〜3.5 <1. 5 150 500〜700 |
315 添加物 50〜200 11. 75 >9 <0. 5 >450 700〜900 |
520 Ni+添加物 50〜200 10. 73 >9 <0. 1 380 250〜350 |
|
薬剤耐性 硝酸ガス SO2 ガス NH3 ガス 汗 H2 ガス |
- O O O O O |
- X O O O △ |
- X O O O △ |
|
カラー はんだ付け性
|
黄金色 - |
白(やや黒) O
|
ホワイト O
|
| 抵抗/mΩ | 7.3 Hの後2Sガス暴露 80 | 8.6 Hの後2Sガス暴露 13.7 | 10 |
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(2) パラジウム-ニッケル合金めっきの耐食性
P.ウィルキンソンは、耐食性、耐摩耗性、電気抵抗率のすべての特性を備えた他の金属や合金を見つけることは不可能だが、Pd-Ni20%合金は金に匹敵する特性を持っていると考えている。
K.J. Whitlawも詳細な調査を行った。彼の報告書によると、合金組成、条件、コーティング組成分析に関するデータは表4-10~4-12にある。
表4-10 金めっき液の組成、プロセス条件およびめっき性能
| 組成とプロセス条件 | めっき層の組成と性能 |
|---|---|
|
金 8. ニッケル 0.65g/L pH 4. SG 1. 温度 38 電流密度 1A/dm2 撹拌 カソード上下振動 3.5m/分 蒸着速度 1μm/2. |
金 99.0%(質量分率) Ni 0. 14%(質量分率) C 0. 27%(質量分率) K 0. 30%(質量分率) 密度 17.5g/cm3 硬度160VPN 延性不良(50μm箔) |
表4-11 Pd-Ni電気めっき液の組成、プロセス条件および性能
| 組成とプロセス条件 | めっき層の組成と性能 | ||
|---|---|---|---|
| 主メッキ浴 | 衝撃めっき浴 | ||
|
博士号 ニー pH SG |
5.0g/L 6.5g/L 8. 2 1.09 (12°Be) 1A/dm2 |
2.0g/L - 5. 5 1.05 (7°Be) 0.3 A/dm2 |
Pd質量比73.0%(60%原子) Ni質量比27.0%(原子比40%) C 0 K 0 密度:11g/cm3 延性:良好(伸び6%)(50μm箔)
|
| 攪拌:低速カソード振動と連続フィルターサイクル めっき速度 5分/μm、1.5分/0.lμm | |||
表4-12 試験に使用した6種類の電気めっきの組み合わせと相対コストの比較
| メッキ層 | コスト要因 |
|---|---|
|
Cu 2.5μm厚への金めっき Cu 3.5μm厚へのPd-Niめっき Cu3.0μmにPd-Niめっき+Auめっき0.25μm Cu5.0μmにNiめっき+Au1.0μmめっき Cu上Niめっき5.0μm+Pd-Niめっき2.0μm Cu Ni 5.0μmめっき+Pd-Ni 1.5μmめっき+Au 0.25μmめっき |
100 35 38 40 20 23 |
表4-13 産業雰囲気暴露後の接触抵抗(21日間)
| メッキマッチング番号 | 接触抵抗 | メッキマッチング番号 | 接触抵抗 |
|---|---|---|---|
|
1 2 3 |
1.7mΩ 2.2mΩ 測定不能 |
4 5 6 |
測定不能 2.8mΩ 10.0mΩ |
試験片の目視結果から、CuめっきのPd-Ni中間めっき層上に電解めっきしたAu、Niは腐食せず、ピンホールも見られなかった。しかし、Ni上にめっきされたAuには数個のピンホールが見られたが、染色試験ではその存在は確認できなかった。
2種類のPd-Ni合金板では、その端部の腐食は比較的激しく、次のように考えることができる:
高電流密度下でのNiリッチ領域での腐食;
保護されていない端部での腐食クリープ。
これらのめっき液の中で、Pd-Ni 30μm上に0.25μmのAuをフラッシュめっきする方法は、酸硬2.5μmのAuめっきに代わる最良の方法である。めっき層は次のような特徴を持つ:
ピンホールがないこと;
安定した接触抵抗;
優れた耐食性;
優れた耐摩耗性;
高温でのCu拡散に対する優れた耐性。
同時に、ピンホールによる腐食を防ぐために、コーティング表面に有機皮膜を形成するシーリング処理が施される。
2.パラジウム-銀合金の電気めっき
ジャンクションとして使用されるPd-Agメッキは、金の代わりに使用される。岸本圭介は、Pd-Ag合金めっきの錯化剤としてアミドポリカルボン酸を選んだ。アミド化合物は安定剤としても使用される。典型的なめっき条件は(NaOHで調整)、めっき液温度は20~60℃、電流密度は0.5~10A/dmである。2 .
組成は以下の通り:
Pd(NO3)2(Pd塩) 1.0〜30g/L
硝酸銀3(銀塩) 0.01 〜15g/L
アシルアミノポリカルボン酸(安定剤) 1〜300g/L
アシルアミノ化合物(安定剤) 1〜100g/L
めっき液温度 20〜60
カソード電流密度 0.5〜10A/dm2
その結果、金属光沢を有し、密着性の良い均一な皮膜が得られる。しかし、このめっき液はAgの析出能が比較的強いため、めっき液中の金属イオンのうちAgイオン含有量よりも皮膜中のAg含有量が多くなり、めっき液の制御が難しくなる。
また、松村泰之らは、水素分離膜用のPd-Ag合金めっきとして、アンモニアを錯化剤として使用する特許を出願している。主な処理条件は以下の通り:
パラジウム塩[Pd(NH3)4Cl2] 5〜200mmol/L
銀塩 Ag2SO4 0.5〜20mmol/L
錯化剤 [(NH4)2SO4 NH4H2プライベートオファーリング4 NH4)2SO4] 20〜2000mmol/L
pH調整剤 [NH4OH] pH = 9〜12
めっき液温度 20〜50
電圧 -0.7〜1.0V(対Ag/AgCl標準電極)
不活性陽極(Ti-Pt)
3.パラジウム-コバルト-インジウム合金の電気めっき
表4-14 Pd-Co-In合金めっき浴の組成とプロセス条件
| 第1位 | 第2位 |
|---|---|
|
酒石酸ナトリウム 150g/L 硫酸ナトリウム 60g/L Pd(NH3)4Cl2 (パラジウムとして) 30g/L スルファミン酸コバルト(コバルトとして) 40g/L 硫酸インジウム(インジウム) 5g/L サッカリン(光沢剤として) 4g/L 1,4-ブチンジオール 0.3g/L pH10 めっき液温度 50 カソード電流密度 1.5A/dm2 メッキ 白色合金 |
クエン酸 180g/L 亜硫酸ナトリウム 100g/L Pd(NH3)2Cl2 (パラジウムとして) 3g/L 塩化コバルト(コバルトとして) 5g/L スルファミン酸インジウム(インジウム) 20g/L サッカリン(光沢剤として) 4g/L ギ酸 0.5ml/L pH6.5 めっき液温度 25 カソード電流密度 0.5A/dm2 ライトグレー合金 |
セクション IV 化学パラジウムめっきとその合金
1.次亜リン酸を還元剤とする無電解パラジウムめっき
村角昭彦らは、めっき浴に安定剤を添加することでめっき液の安定性を大幅に向上させ、長期間のめっき液使用でも良好なろう付け性と金属ワイヤーの接合性を確保した。
表4-15に、村角昭彦らによって提案された配合と処理条件を示す。表4-16に、前処理条件を示す。
表4-15 無電解パラジウムめっき式とプロセス条件
| 組成とプロセス条件 | 第1位 | 第2位 | 第3位 | 第4位 | 第5位 | 第6位 | 第7位 | 第8位 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 化学パラジウムめっき液 | パラジウム塩 | 塩化パラジウム/(mol/L) | 0.03 | 0.03 | 0.03 | 0.03 | ||||
| 塩化パラジウムテトラアンモニウム/(mol/L) | 0. 005 | 0. 005 | 0. 005 | 0. 005 | ||||||
| 錯化剤 | エチレンジアミン/(mol/L) | 0.4 | 0.4 | 0.4 | 0.4 | 0.4 | 0.4 | 0.4 | 0.4 | |
| EDTA/(mol/L) | 0.03 | 0.03 | 0.03 | 0.03 | ||||||
| グリシン/(mol/L) | 0.03 | 0.03 | 0.03 | 0.03 | 0.03 | |||||
| アンモニア(28%)/(mol/L) | 適切な量 | 適切な量 | 適切な量 | 適切な量 | 適切な量 | 適切な量 | 適切な量 | 適切な量 | ||
| 還元剤 | 次亜リン酸ナトリウム/(mol/L) | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | ||
| 次亜リン酸アンモニウム/(mol/L) | 0.2 | |||||||||
| 不飽和ヒドロキシ酸 | イソブテン酸/(mol/L) | 0.3 | ||||||||
| イソブテン酸/(mol/L) | 0.3 | |||||||||
| マレイン酸/(mol/L) | 0.2 | |||||||||
| フマル酸/(mol/L) | 0.2 | |||||||||
| イタコン酸/(mol/L) | 0.2 | |||||||||
| シトラコン酸/(mol/L) | 0.2 | |||||||||
| メソ酢酸/(mol/L) | 0.2 | |||||||||
| 桂皮酸/(mol/L) | 0.2 | |||||||||
| 温度 | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 | ||
| pH | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 | ||
| コーティング特性 | 分離速度/(μm/h) | 新しいソリューション | 0.4 | 0.4 | 0.5 | 0.5 | 0.7 | 0.6 | 0.6 | 0.7 |
| 50時間連続めっき後 | 0.4 | 0.4 | - | - | 0.7 | 0.6 | - | - | ||
| メッキの外観 | 新しいソリューション | グッド | グッド | グッド | グッド | グッド | グッド | グッド | グッド | |
| 50時間連続めっき後 | グッド | グッド | - | - | グッド | グッド | - | - | ||
| はんだ付け性 | 新しいソリューション | グッド | グッド | グッド | グッド | グッド | グッド | グッド | グッド | |
| 50時間連続めっき後 | グッド | グッド | - | - | グッド | グッド | - | - | ||
| ワイヤーのはんだ付け性 | 新しいソリューション | グッド | グッド | グッド | グッド | グッド | グッド | グッド | グッド | |
| 50時間連続めっき後 | グッド | グッド | - | - | グッド | グッド | - | - | ||
| 液体の安定性 | 50℃連続めっき | 50時間後分解なし | 50時間後分解なし | 50時間後分解なし | 50時間後分解なし | 50時間後分解なし | 50時間後分解なし | 50時間後分解なし | 50時間後分解なし | |
| 80℃加熱 | 30時間後分解なし | 30時間後分解なし | 30時間後分解なし | 30時間後分解なし | 30時間後分解なし | 30時間後分解なし | 30時間後分解なし | 30時間後分解なし | ||
| 室温 | 6ヶ月間変化なし | 6ヶ月間変化なし | 6ヶ月間変化なし | 6ヶ月間変化なし | 6ヶ月間変化なし | 6ヶ月間変化なし | 6ヶ月間変化なし | 6ヶ月間変化なし | ||
表4-16 表4-15の基板前処理条件
| 加工 | ソリューション | 温度 | 処理時間/分 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 前処理 | (1) | クリーン処理 | ACL-009 | 植村工業製品 | 50 | 5 |
| (2) | 弱いエッチング | 100g/L SPS | 25 | 2 | ||
| (3) | ピクルス | 10% H2SO4 | 1 | |||
| (4) | 含浸前 | 3% H2SO4 | 1 | |||
| (5) | 活性化処理 | MNK-4 | 植村工業製品 | 30 | 2 | |
| 化学めっき | (6) | Ni-Pメッキ | NPR-4 | 植村工業製品 | 80 | 30 |
| (7) | パラジウムめっき | 表 4-17 参照 | 5 | |||
| (8) | 交換めっき Au | TAM-55 | 植村工業製品 | 80 | 10 | |
表4-17 化学めっきPd-Pプロセス条件
| 組成とプロセス条件 | 配合と成分濃度 | 組成とプロセス条件 | 配合と成分濃度 |
|---|---|---|---|
|
PdCl2 エチレンジアミン チオ二酢酸 |
0.01mol/L 0.08mol/L 30mg/L |
Na2HPO3 pH 温度 |
0.02 〜1.0mol/L 6 60℃ |
還元剤としての次亜リン酸塩と同様に、亜リン酸塩もエチレンジアミン錯塩からPd-P合金めっきを得ることができると考えられている。また、自己触媒効果もある。さらに、めっき液中の次亜リン酸塩の濃度が高くなると、めっき皮膜中のリン含有量も増加する。
第一段階における還元剤の脱水素反応のメカニズムは以下の通りである:
| 脱水素 | HPO32- → -PO32- + H | (4-1) |
| 酸化 | プライベートオファーリング32- + OH- → HPO32- + e- | (4-2) |
| 組み換え | H + H → H2 | (4-3) |
| 酸化 | H + OH- → H2O + e- | (4-4) |
| 金属沈殿 | 博士号2+ + 2e- → Pd | (4-5) |
| 水素の沈殿 | 2H2O + 2e- → H2 + 2OH- | (4-6) |
| Pの共沈殿 | HPO32- + 2H2O + 3e- → P + 5OH- | (4-7) |
2.無電解パラジウム-ニッケル合金めっき
本間英夫氏らは、ヒドラジンを還元剤とするPd-Ni合金めっきの特許を提案した。これにより、電流を必要とせず、形状の制約を受けない合金めっきが可能になる。同時に、リンを含む還元剤を使用しないため、めっき層へのPの混入を避けることができる。Pの存在は、電気接点の接触抵抗を増加させ、ろう付けの濡れ性を低下させ、信頼性の問題を引き起こす可能性がある。
被めっき基材の前処理条件を表4-18に示す。
表4-18 無電解Pd-Ni合金めっきの前処理条件
| 治療 | 温度 | 浸漬時間/分 |
|---|---|---|
|
アルカリ脱脂 水洗い 酸処理 水洗い 活性化処理 |
10 ~ 100 10 〜100 10 〜 100 10 〜100 10 〜100 |
1〜10 1〜5 1〜10 1〜5 1〜10 |
表 4-19 Pd-Ni 合金化学めっき液の組成と処理条件
| 組成とプロセス条件 | 配合と成分 | 組成とプロセス条件 | 配合と成分 |
|---|---|---|---|
|
塩化パラジウム 硫酸ニッケル ヒドラジン一水和物 エチルアミン |
0.01mol/L 0.0501mol/L 1.001 mol/L 0.201mol/L |
錯化剤(カルボン酸) 硫酸鉛 温度 H |
0.301 mol/L 0.005g/L 60℃ 9. 0 |
3.パラジウム-モリブデン合金の化学めっき
表 4-20 Pd-Mo 無電解めっき合金の組成とプロセス条件
| 原材料とその加工条件 | 第1位 | 第2位 | 第3位 | 第4位 | 第5位 |
|---|---|---|---|---|---|
|
PdCl2 (パラジウムとして) ギ酸カリウム 次亜リン酸ナトリウム トリメチルアミンボラン アンモニア ジエチルアミン クエン酸ナトリウム トリエチレンテトラミン ホウ酸 ヒドロキシエチレンジアミントリアセテート フマル酸 酢酸鉛(鉛として) コハク酸カリウム チオ硫酸ナトリウム モリブデン酸ナトリウム(モリブデンとして) H めっき液温度 ワイヤーボンディング試験 ろう付け接合試験 |
2g/L 0.1mol/L - - 2mol/L - - - 0.5mol/L - - 1X10-6 - - 0.05g/L 7 70℃ 8g以上 フレーキングなし 1.5kg以上 |
2g/L - 0.5mol/L - - 0.1mol/L 0.25mol/L - - - - - - 25X10-6 0.5g/L 7 60℃ 8g以上 フレーキングなし 1.5kg以上 |
2g/L - 0.3mol/L - - - - 0.05mol/L - - - - 0.1mol/L 40X10-6 5g/L 8 60℃ 8g以上 フレーキングなし 1.5kg以上 |
2g/L - - 0.02mol/L - - - - - 1mol/L 0.1mol/L - - 40X10-6 20g/L 8 70℃ 8g以上 フレーキングなし 1.5kg以上 |
2g/L 0.1mol/L - - 2mol/L - - - 0.5mol/L - - 1X10-6 - - 20g/L 7 70℃ 8g以上 フレーキングなし 1.5kg以上 |
4.パラジウム-銀合金の無電解めっき
式中、nは1〜5の整数であり、RはHまたは-CH2-CH2-日本2.
めっき液の安定性は、めっき中に金属濃度等を連続的に添加し、繰り返しPd-Agめっきを行うことで評価する。1サイクル使用後、めっき液を90℃に加温し24時間保持し、めっき液の分解や槽内の金属析出の有無を確認する。膜厚は蛍光X線膜厚計で測定する。
水素透過係数は、合金をメッキした多孔質セラミック管に500℃に加熱した水素を通し、透過した水素をガスクロマトグラフィーで分析することで算出される。
第V節 パラジウムめっき液の運転管理
純パラジウムまたはパラジウム合金めっき液は、一般にパラジウムとその錯体、導電性塩、添加剤などからなる。添加剤は有機物、無機物、有機物と無機物の混合物のいずれでもよい。
一般的に、パラジウムめっきに使用される分析機器は以下の通りである。
原子吸光分光法またはICP:パラジウムおよびその他の金属イオン濃度の分析;
イオン分光法または電気泳動法:導電性塩とその錯化剤の分析;
HPLCまたは電気泳動または電位差滴定:有機添加物の分析。
陽極は一般的に反応性である。陽極では酸化反応が起こり、めっき液の老化を早める可能性がある。ネイルアノードやシートアノードを使用した場合の酸化現象は、Pt-Tiアノードを使用した場合の酸化反応よりも弱い。
pH調整にアンモニア水を使用すると、アンモニアガスの揮発によりpHが不安定になることがある。アンモニアガスはめっき液に直接導入することができる。
